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巣鴨が老人の街になったのは、「とげぬき地蔵」がきっかけです。

正式には高岩寺というお寺ですが、もともと病気や怪我に聞くと評判で、自分が痛い場所を手拭いでこすると身代わりになってくれると評判の観音さまが有名です（お地蔵は本尊なので建物の中にあります）

そのため怪我や持病に悩むお年よりが昔からそれなりに訪れてはいたそうですが、はっきりと「お年寄りの原宿」と呼ばれるまでになったのは、読売新聞に「お年寄りの原宿」と紹介されて以来です。後追いでテレビの特集などで紹介され「お年寄りの原宿」としてすっかり定着しました。以来バスツアーなどにも取り込まれ、観光バスで団体客が訪れたりもする人気観光地になったのです。

このとげぬき地蔵を中心として、巣鴨商店街が軒を連ねています。毎月の４のつく日は通称「4の日」と呼ばれる縁日で「巣鴨地蔵通り商店街」には露天商も出て、大変な賑わいになります。

実は筆者は学生時代、この巣鴨とげぬき地蔵通りの近くに下宿をしており、バイト先は巣鴨駅前の居酒屋という、巣鴨に密着した生活を送っていました。始めの頃は金曜や土曜日でもないタダの平日に「熊手を持ったお年寄り」が大量に来店するという謎の混雑日があり、4の日の存在を知ったという経緯があります。4の日の巣鴨商店街は大変な混雑に加えお年寄りが多いので、ものすごくゆっくりとしか人が進みません。急ぎの日には近寄ってはいけないストリートです。 

地蔵通商店街ですが、思ったより普通の商店街です。全体的に懐かしいお店が多く佃煮屋・うなぎ屋・おせんべい屋・駄菓子屋・たいやき屋・喫茶店などなど昭和の香りが自然に漂います。お土産では『塩大福』と『濡れせんべい』『巣鴨マルジ』の赤パンツなどが人気です。特に大きなお店やスポットなどはありませんが細かい部分が「お年寄り向け」になっています。

疲れたらすぐに座れるベンチがたくさんあり、トイレも気軽に貸してもらえます。巣鴨駅前の西友や駅構内のエレベーターは、日本一ゆっくり運転といわれています。巣鴨にあるマクドナルドは、一階は高齢者優先席となっておりメニューを見るためにレジにルーペが置かれるという徹底振り。フライドポテトは「おいも」、S・M・Lは「小・中・大」と無駄な横文字は一切排除されています。 

お年寄りが若い人に遠慮せず、自分のペースでゆったり過ごせる巣鴨。

「町全体でお年寄りを受け入れている」と感じさせる細かい気配りがたくさん見られます。

渋谷や原宿では見られないヨチヨチ歩きのお年寄りが、本当に嬉しそうに、のびのびと街を楽しんでいます。 

高齢者へのさりげない気遣いや思いやりなど、接し方を間近で感じられる「巣鴨地蔵通り商店街」。高齢者との接し方にお悩みの介護スタッフさんや高齢者の気持ちをもっと知りたい！と考えている方は一度訪れてみてはどうでしょう。

とても元気なおじいちゃん・おばあちゃん達の活き活きとした姿を見ることができますよ。